第10回対話システムシンポジウム参加報告(1日目)

こんにちは、AIチームの友松です。
この記事は第10回対話システムシンポジウム1日目の参加報告になります。

スケジュール

第10回対話システムシンポジウム1日目は以下のスケジュールで行われました。

〇 12月2日(月)10:00-18:00
[10:00-10:05 開会挨拶]

[10:05-11:45 一般口頭発表 (4件)]
※発表時間25分(発表20分+質疑5分)

1. 未知語属性獲得のための質問の形式がユーザに与える印象の実験的分析
 ◯駒谷和範(阪大),中野幹生(HRI-JP)
2. ユーザに上手に説得される人狼知能対話システムの構築
 ◯稲葉通将(電通大)
3. アンドロイドERICAによる面接対話における掘り下げ質問生成
 ◯原康平,井上昂治,Divesh Lala,山本賢太,中村静,高梨克也,河原達也(京大)
4. 自律型アンドロイドERICAによる傾聴対話システムの評価
 ◯井上昂治,Divesh Lala,山本賢太,中村静,高梨克也,河原達也(京大)

[11:45-13:00 昼休憩]

[13:00-14:00 招待講演1]
5. 「ソーシャルなロボットにむけた関係論的アプローチ」
 岡田美智男先生(豊橋技術科学大学)

[14:00-14:05 休憩]

[14:05-15:20 一般口頭発表 (3件)]
6. 質問タイプの分類に基づく登録外質問に対する応答生成
 ◯磯西爽太,井上昂治,高梨克也,河原達也(京大)
7 .Hierarchical tensor fusion for deception detection of negotiation dialog
 ◯Nguyen The Tung, Koichiro Yoshino, Sakriani Sakti, Satoshi Nakamura (NAIST)
8 .映画推薦対話システムを具体例としたユーザ内部状態のモデル化・コーパス構築・解析
 ◯児玉貴志,田中リベカ,黒橋禎夫(京大)

[15:20-15:30 休憩]

[15:30-18:00 対話システム ライブコンペティション2]

 [19:00-] 懇親会

一般口頭発表

対話システムシンポジウムの一般口頭発表は1日目に集約されており、計7件の発表がありました。
今回は個人的に印象に残ったものに絞って紹介させていただきます

1. 未知語属性獲得のための質問の形式がユーザに与える印象の実験的分析
 ◯駒谷和範(阪大),中野幹生(HRI-JP)

こちらの発表は知識獲得を対話形式で行う場合の質問の形式がユーザにどのように影響を与えるかについて実験を行なった発表でした。明示的(explit)な質問と暗黙的(Implicit)な質問をそれぞれ正しいもの(Collect)と正しくないもの(Wrong)に分けた4つの質問形式(EC, EW, IC, IW)にWhqを加えた5つの質問形式について印象を評価しています。明示的質問はYes/Noで明示的にユーザに尋ねるので、なんども連続して行われると煩わしく感じたり、暗黙的質問であってもその内容が誤っているとユーザは煩わしく感じるといったような仮説があります。これまで経験則的に考えられていたものを実験を通して評価しています。

AI Shiftでは明示的質問や暗黙的質問は確信度に基づき行なっていたので将来的にはユーザの印象を考慮してどちらを使って行くか戦略立てて行く必要があるのかもしれないと思いました。

3. アンドロイドERICAによる面接対話における掘り下げ質問生成
 ◯原康平,井上昂治,Divesh Lala,山本賢太,中村静,高梨克也,河原達也(京大)

こちらの発表は面接練習を行う対話システムに関するも
多くの面接練習を行う対話システムにおいて、多くの先行研究では事前に用意された質問を投げかけるのみであり、ユーザはあらかじめ用意した答えを答えれば良いものになってしまってい面接練習にならないものが多くあります。こちらの発表ではユーザの回答に応じて掘り下げ質問を生成する手法について紹介されました。質問は4種類のベース質問(志望動機, 長所, 学生時代に頑張ったこと, スキル)と複数のチェック項目で構成されており、システムがユーザにベース質問を行い、それに対するユーザの応答によって満たされたいないチェック項目に対して掘り下げ質問を行うという仕組みです。

ベース質問とチェック項目の充足度に基づく掘り下げ質問という形式はデータさえ手に入れば幅広く応用が効く仕組みだと思いました。

6. 質問タイプの分類に基づく登録外質問に対する応答生成
 ◯磯西爽太,井上昂治,高梨克也,河原達也(京大)

こちらの発表は、用例ベース対話システにおいてがユーザの質問が登録外だった時に「わかりませんでした」と答えずに応答生成を行う研究です。質問タイプとそれに対応した応答フレームが定義し、システムが理解しているかのような応答を生成します。質問タイプを[必須情報, 趣味, 好み, 経験, 希望, 主観的考え, 個人情報, 一般知識], 質問形式を[命題質問(Yes, No), 集合質問(5W1H)]として、ユーザの発話からSeq2Seqを用いてこれらの予測を行います。

AI Shiftでも用例ベースの対話システムを用いており、システム側がユーザの質問を理解できなかった時にどのように振る舞うかによってユーザが持つ印象は大きく変わると思うので大変興味深い研究でした

招待講演

[13:00-14:00 招待講演1]
5. 「ソーシャルなロボットにむけた関係論的アプローチ」
 岡田美智男先生(豊橋技術科学大学)

こちらの講演では主に 弱いロボット について数々の実証実験を例にあげながら説明していただきました。

弱いロボットとは個体として完全なロボットを目指すのではなく、ロボット自身の弱さをさらけ出し他者からの補助を引き出すことによって実現する関係論的アプローチを使用したロボットだそうです。弱いロボットの例として「ゴミ箱ロボット」があげられていました。このロボットはゴミ箱の形をしていて、自分ではゴミを拾うことができません。しかし、子供達の手助けを上手に引き出して結果としてゴミを拾い集めてしまいます。他にもティッシュ配りのロボットで、もじもじしながら近づいてきてロボットらしい弱さをさらけ出すことによって、ティッシュ配りを成功させてしまうというロボットも例に挙げられていました。その他にも数多くの例を交えてこれまでの弱いロボットの研究について講演していただきました。

恥ずかしながら、この講演を聞くまで弱いロボットについてほとんど知らなかったのですが、弱いロボットが人間と協調することによって実現するアプローチは非常に面白く今後も注目して行きたいと思いました。

昼食

昼食は早稲田大学キャンパス内の唐揚げ丼専門店でいただきました。お手頃な価格でいただけるのと、この他にもお惣菜ビュッフェコーナーがあったりしました。この日は寒い1日でしたが温まる1杯でした。

懇親会

[19:00-] 懇親会

懇親会ではネットワーキングとして学生/企業/研究所/大学関係者が偏りがなく交流できるようなゲームが企画されていて、対話システムシンポジウムに初参加の自分でも色々な方と交流することができました。(料理も非常に美味しかったです)。弊社からは戸田がゲームで当選しました。

終わりに

AI Shiftが対話システムシンポジウムに参加したのは初めてでしたが、対話に絞られた研究会だけあってどの研究も自分たちに刺さる研究ばかりで来年も参加したいと思いました。対話という研究分野では問題設定やデータ集め、実験、評価方法が難しいと感じました。また、私たちが常々感じている課題点を共感してもらえたのも印象的でした。

明日は対話システムシンポジウム2日目について紹介させていただきます。

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